Law & Order 1-3 The Reaper's Helper 「死神の使い」

L&Oの事件被害者といえば、だいたいは死体で出てきて顔が映ることもほとんどない名前だけの存在で、どんな人物だったか想像してみることもなく忘れられてしまいます。しかしこのエピソードの被害者ボビー・ホランドは、生前の苦悩ぶりが両親や知り合いの証言…

Law & Order The Unofficial Companion つづき

Law & Order The Unofficial Companion からもう一度。こんどはベン・ストーン検事のキャラと俳優マイケル・モリアーティについて書いてあるところを引用します。1990年、番組が始まった当時にカナダの新聞に載った評からの抜粋です。 (p. 140) 1990年のトロ…

テネシー・ウィリアムズ回想録

最近の投稿記事にモリアーティ氏が自分で書いていた、若いころに演出家エリア・カザン、アクターズ・スタジオの指導者ステラ・アドラー、劇作家テネシー・ウィリアムズに高く評価されたという話です。 カザンはジョニー・カースン・ショーに出演したときに、…

『ホロコースト』 ディスク3 1941年のクリスマス

ベルリン、1941年のクリスマス。このシリーズ全体で、ハイライトと言えるシーンは先日のバビヤールも含めていくつかあると思いますが、私が「戦争と家族」というテーマを強く感じるのがここです。そしてこの場面にはマイケル・モリアーティがカメラを見てい…

『ホロコースト』 ディスク3 バビヤール

この場面は、バビヤール(お祖母ちゃんの谷)へ歩かされるユダヤ人の長い列から始まり、ドルフとブローベルのドイツ側からだけでなく、列から抜け出して茂みに隠れたルディ・ワイスとヘレナという被害者の視点からも目撃されます。 少佐に昇進しているエリッ…

『ホロコースト』 ディスク3 キエフ

ちょっと前に、映画『ハンナ・アーレント』を観てきました。雨の日の朝から行ったにもかかわらず当日券売り場は長蛇の列で、もう少しで入りそこねるところでした。誰もいないんじゃないかと思ってたのに、関心が高いことに驚かされました。きっと、アーレン…

Law & Order The Unofficial Companion

表題の本、今頃になって買ってみました。L&Oのスタッフやキャストへのインタビューと、エピソードガイドで構成されています。なかでもキャストの話がいろいろと面白い。まずリチャード・ブルックス。 (マイケル・モリアーティの脇役を演じるには)極限まで…

『ホロコースト』 ディスク2 最初の殺人

この場面から、エリック・ドルフは事務仕事を離れ、戦線後方に展開しているアインザッツグルッペンを巡回するようになります。(彼のモデルである実物のアドルフ・アイヒマンも、「独ソ戦開始後に上司のハインリヒ・ミュラーの命令でトレブリンカやリッツマ…

Law & Order 2-17 Sisters of Mercy 「いたわりの心」

ストリートチルドレンの収容施設を舞台にした話。とても若いケリー・ウィリアムズ(「ザ・プラクティス」「ライ・トゥ・ミー」)の演技が印象的ですが、本筋は別で、理事長(ウィリアム・H・メイシー)が立場を利用して入所者の少女に性的関係を強要してい…

Law & Order 1-6 Everybody's Favorite Bagman 「消された運び屋」ふたたび

ストーン専用HD機で録画した1-6(スパドラ放送では1-1)パイロット版エピソードを見直してたんですが・・・この話って難しくないですか?私、自分が筋を把握していなかったのに今ごろになって気がつきました。何度か見たはずなのに、若くて威勢のいいストー…

『ホロコースト』 ディスク2 アインザッツグルッペン1941年

アインザッツグルッペンとは、ナチ政権下のドイツで、保安警察によって何度か組織され、各戦線のすぐ後方に展開して敵性分子の排除と治安の確保に当たった部隊です。「排除」には銃殺やガストラックなどの手段が使われました。この場面に出てくるのは1941年…

The Equalizer 4-15 「星の炎」 その5

「星の炎」のラストシーンです。セティとアンバーのお別れに涙したと思ったら、驚愕の事実がさらりと明らかにされ、それまでの話の前提が全部ひっくり返りそうになります。 ドクター・ウルフはセティをどこかに入院させる手配をしたらしい。セティも別の惑星…

The Equalizer 4-15 「星の炎」 その4

マコールから「かつて友人だったが、今は自分の命を狙っている人物」の名前を訊かれたセティは答えません。しかし、ミッキーが答を調べてきます。クリントン・ブランダウアー博士、エアロダイメンションズ社の元技術部長で、ロケット事故の直後、執行役員に…

Der Equalizer

「星の炎」のビデオをYouTubeで見つけました。だけどなんとドイツ語吹替版 "Der Equalizer"(笑)いやーこんなのがあるなんてびっくりです。 エピソードタイトルも入っていないので普通なら見つからなかったと思うんですが、 The Equalizer で検索して出てき…

The Equalizer 4-15 「星の炎」 その3

前の記事で、「モリアーティが宇宙人だと言うつもりはない」って書きましたが、訂正します。考えれば考えるほど、セティはモリアーティ自身だという気がする・・・つまり彼が現実世界に感じていた違和感を体現しているんじゃないかと思えるんです。では、こ…

The Equalizer 4-15 「星の炎」 その2

セティと二人になったマコールは、一緒に歩いてビルの地下にあるねぐらに向かいます。最初は懐疑的だったマコールが、だんだんこの宇宙人に影響されはじめる場面です。マコール セティとは君の本当の名前じゃないね? セティ どうして? マコール SETIという…

The Equalizer 4-15 「星の炎」 その1

この前ご紹介したとおり、この"The Equalizer" はシリアスでハードボイルドな事件を扱うシリーズなんですが、エピソード Starfire 「星の炎」はちょっと変わった、忘れがたい感じに仕上がっています。哀しさとユーモアが混じった不思議な雰囲気、というべき…

The Equalizer 「ザ・シークレット・ハンター」

マイケル・モリアーティの作品のうち、テレビドラマのゲスト出演はたくさんありすぎて今までチェックしていませんでしたが、このドラマでは彼がエミー賞のゲスト男優部門にノミネートされたそうなので見てみることにしました。"The Equalizer" シーズン4の15…

『ホロコースト』 ディスク2 1939年のポーランド総督府

このシーンでは、エリック・ドルフがポーランド総督ハンス・フランクに会いに来ています。フランクはもともと法律家であり、ミュンヘン一揆の前からナチ党員で党の弁護士を務めていた古参。この人物について『アイヒマン調書』に次のような記述があります。1…

『ホロコースト』視聴率と反響

1978年制作の『ホロコースト』が及ぼした社会的影響がどれほどのものであったか、35年たった現在ではちょっと想像しにくいものがあります。このためウェブから拾ってきた数字を以下に挙げてみます。単位がばらばらなので比較がめんどうなんですが。あるサイ…

『ホロコースト』 ディスク2 1939年の舞踏会

ディスク2は1939年、ポーランド侵攻後の話になります。ハイドリヒ長官の執務室で、ドルフがスライドフィルムを上映して見せている。おそらくポーランド各地での、ユダヤ人の絞首や銃殺の様子。現地での散発的な処刑で、計画された大量殺戮ではないようです…

Law & Order 16-6 Birthright  「虐待の連鎖」

ポール・ロビネット弁護士、ふたたびの登場です。忠実なファンとしては見逃せません。しかし検事補時代のロビネットにはファンも多かったけど、6-14「子を盗む」での転向はネットで見る限りどうやら不評だったようです。私のようなロビネット・ロイヤリスト…

美しき家政婦 ウーマン・ウォンテッド

キーファー・サザランド監督作品、1999年。日本版DVD。不幸な家庭生活で傷つき、お互いの愛を求めながら不器用で和解できない父子と、そこに触媒として登場し二人を変えていく女性の物語です。・・・というと、お涙頂戴の偽善的な話を想像してしまいますが、…

アイヒマンとドルフ

ドラマ『ホロコースト』のディスク2に移る前に、マイケル・モリアーティが「悪役は二度とやりたくないと思った」というそのエリック・ドルフの「悪」について整理してみます。この項目はハンナ・アーレントの『イェルサレムのアイヒマン』(1963年、大久保…

カテゴリー整理しました

カテゴリを少しいじってみました。最初の大分類はマイケル・モリアーティについて。マイケル・モリアーティ 映像 Law & Order 以外の出演作品。舞台の話もここに。 マイケル・モリアーティ 音楽 音楽作品について。 マイケル・モリアーティ 著作他 小説、脚…

『ジャスティス』

さいきん第二次世界大戦関係の番組があるとつい見てしまう私です。しかも、8月だからたくさんやってる。きょうもテレビをつけたら『ジャスティス』(原題 Hart's War)という映画をやっていて、途中から見たけどなかなか面白かったのでご紹介します。ザ・シ…

エリック・ドルフ

今週のモリアーティ氏の投稿記事は、タイトルが「アメリカン・ホロコースト」。いきなりハイドリヒの写真がでっかく載っていて、エリック・ドルフの名前が出てきたので驚きました。ま、まさかここ読んでないよね、マイケル。といっても主題はエリックじゃな…

『ホロコースト』 ディスク1 ウィーン、プラーター公園、1938年

『ホロコースト』ディスク1の残りです。ストーリーの流れと時代背景はこちらの記事。引き続き1938年のベルリン、ドルフ家のアパートメントのシーンから。子供たちが寝に行った後、ワイス医師が息子カールを助けてほしいと訪ねてくる。エリックは「何もでき…

Law & Order 2-11 His Hour Upon the Stage 「舞台を降りる時」

ブロードウェイ・ミュージカルにまつわる話。事件関係者が多いせいで筋を把握しきれなくて放ってありました。きのうの日本語字幕放送であらためて見てやっと全体を把握できた(笑) 舞台が題材だけあって、ストーンの小芝居など、細かいところが楽しいエピソ…

私は古い人間

エピソード15-7の字幕でひっかかった部分について補足です。L&Oの字幕や吹替については、あれほどの量を限られた時間で訳して高い品質を保っているのはすごい、といつも思っているのですが、レベルが高いからこそ要求も高くなるのだ、とご理解ください。「同…