Law & Order 2-11 His Hour Upon the Stage 「舞台を降りる時」

 
ブロードウェイ・ミュージカルにまつわる話。事件関係者が多いせいで筋を把握しきれなくて放ってありました。きのうの日本語字幕放送であらためて見てやっと全体を把握できた(笑) 舞台が題材だけあって、ストーンの小芝居など、細かいところが楽しいエピソードです。横顔ショットがたくさんと、笑った顔のバリエーションがいろいろあるのもいい。

5年前に行方不明になっていたブロードウェイのプロデューサーが冷凍死体で発見される。共同プロデューサー、主演女優、作曲家が共謀して作品を乗っ取ったのだ。ショービジネスは「野望と欲にまみれた世界」。ストーンは次々に出てくるアヤシイ面々と順番に取引し、お得意のドミノ倒し方式で首謀者の女優を仕留めます。数えてみたら5人と6回取引してました(最初の2人は警察組が窓口)。これじゃ、途中で話が分からなくなるわけだわ。

共同プロデューサーの運転手=実行犯は故人。その同房の囚人と取引(1人目)。次に死体遺棄を手伝った運転手の義兄(2人目)。共同プロデューサーを逮捕。女優と作曲家も関わっていたことが判明、作曲家を落とす(3人目)。女優たちのコカイン商売が発覚、売人と取引(4人目)

ストーンは売人に証言させるために連邦検事とあらかじめ交渉し、訴因3 x 3年 = 9年のところサバを読んで3 x 6年 = 18年と言う。弁護士が9年というのに対し、いかにも困った、という顔をして「連邦が応じるとは思えない」。検事のくせになかなかの表現力。マイケル・カッターのスパイ演技(19-21「スパイを殺せ」)とどっちが優秀でしょう。さんざんじらしておいてオフィスに戻ってくるところの顔も可笑しいです。真顔だけどなんか口許がとがっていて、笑いだしそうなのをこらえているみたい。

共同プロデューサーと女優の二人を起訴するも、両方とも主犯は相手だと主張するし、証人は胡散臭い奴ばかり。取引の道を探りますが、女優の弁護士は、彼女の方が陪審員受けがいいと強気です。「陪審は(彼と彼女の)どっちの話を信じるかしらね」 これに対しストーン、一拍おいて「私だ」 わはは。あんまり意味ないけど名台詞だー!

と、人前では強気なくせに、次のシーンではカーディガン着て「怪しい証人を二人も揃えたのは失敗だったか」と弱音を吐いてる(笑) 運転手の話を聞くのに「霊媒師(ミディアム)を呼ぶか」と自嘲的な半笑いを浮かべます。ここでロビネットが運転手兄(証人#2)をもう一度利用することを思いつく。

次がこのエピソード一番の見せ場(なのか?)、ストーンがマグカップを両手で抱えての台詞でファンを悶絶させる。左手の薬指と小指をピアノを弾くように動かしていて、You think he's stupid enough to leave a trail? という台詞もそれに合わせて軽く歌ってます。

運転手兄を「金を貰ったことを隠してた!」と責めて取引を破棄(えーと、報酬があるのが普通なのに、自分たちが訊かなかったせいじゃないの?)。新たな取引は証言の後で、という。弁護士は「またあんたの気が変わらないとも限らん」と慎重です。そりゃそうですよね。でも「今回は信じてもらわないと」って、またもや意味なく強気(笑)

最後に共同プロデューサーと取引、証言させる。女優の主張をくつがえす証人とテープを提出。証拠開示に含めずぎりぎりで押し込むという反則技。評決場面はないけど、有罪だったんですね。最後のシーンで、テープのせいで被告が上訴したとシフが言っている。ストーンは「負けるでしょ」と気軽に答える。

タグの会話。

Three lovers, none of whom she loved.  愛人が三人、誰のことも愛さずか。

The men didn't even exist for her. No one was real to her, they were all actors in her play. Foster didn't die, he just left the stage.
彼女にとっては、三人とも実在しなかった。生身の人間というより彼女の芝居の役者です。フォスターは死んだんじゃなく、舞台から降りただけ。

これと呼応している原題はマクベスの台詞で「人生は歩き回るただの影、下手な役者が出番の間、見得を切ったりじたばたしたり」という部分。・・・・・二つ後の2-13「知略の攻防」にも通じるちょっとコミカルな演出で、ストーンが楽しめるエピソードでした。