The Equalizer 4-15 「星の炎」 その5

 
「星の炎」のラストシーンです。セティとアンバーのお別れに涙したと思ったら、驚愕の事実がさらりと明らかにされ、それまでの話の前提が全部ひっくり返りそうになります。


ドクター・ウルフはセティをどこかに入院させる手配をしたらしい。セティも別の惑星に行くとか何か、自分なりに納得しているようです。

I'm going away with Dr. Wolff, Amber. That wouldn't be far. If you need me, I'll come to you with the starlight, just like I promised.
しばらくドクター・ウルフと一緒に出かけるよ、アンバー。遠くじゃない。きみが会いたければ、約束どおり星の光に乗ってくるから。

But..... what about your galaxy, and the mothership?
でも・・・・・ セティの銀河とか、マザーシップはどうなるの?


アンバーに話しかけるセティの声は、モリアーティのアルバム Reaching Out の何曲か、たとえば "Spring Never Happens""Let Us Reach Out" を思い出させます。素直な、心の底からの真実を語っている感じ。何の抑圧もない、哀しいけど明るい声です。(思えば、ベン・ストーンは決してこんな声で喋ることができなかった・・・涙)


Amber..... do you know where the farthest, and the brightest, and the most wonderful galaxy in the whole wide universe is?
アンバー・・・・・ この広い宇宙の中で、一番遠くて、一番明るくて、一番すばらしい銀河はどこにあるか知っているかい?

No. Where?
ううん。どこ?

There. Inside. Way deep, down inside of you.
(アンバーの胸を指して)ここだ。この中に。ずっと深いところ、きみの心の奥にあるんだよ。

ドクター・ウルフの「そろそろ行く時間だ」という声に応えてセティはみんなに挨拶し、マコールに「クォトン、一緒に来るかい?」と訊きます。い・・・いや、私にはまだ仕事が残っているから。 と答えるマコール(笑)

セティ   アンバー、きみはこの惑星に平和をもたらすんだよ。
アンバー セティのこと、ずっと大好きだから。
セティ   (ディスクを手渡しながら)いつかこれを取りに戻ってくるよ。だからしっかり守っててくれ。
アンバー わかった。
セティ   さよなら、アンバー。
アンバー さよなら、セティ。


セティは立ち上がり、ドクターと一緒に歩き始めます。その背後で、ミッキーがマコールにラボの分析結果を報告します。セティのディスクの部品には無重力でしか造れない合金が含まれており、NASAが興味を持っていると。マコールも信じられない顔をします。つ、つまり、あれは外宇宙で造られたものだというのか?


セティは・・・・・セティは、本当に宇宙人だったのでしょうか?


顔を見合わせるミッキーとマコールの耳に、セティの声が届きます。
セティ   待って。仲間が来たのを感じる。ほら、空を見ろ!
ドクター  ただの月だよ、セティ。
セティ   いや、あれはマザーシップだ。

マザーシップと交信するかのように両手を上げるセティの姿でこのエピソードは終わりますが、謎が残ります。

観る側が今まで信じていた通り、セティは友人に裏切られたトラウマから妄想の世界に逃げ込んだ男なのだろうか。いやもしかしたらセティの話は全部本当で、彼はこの後マザーシップに乗って去ってしまい、明日の朝には彼の体は抜け殻と化しているのかも・・・・・。SFファンとしては後者の結末のほうがありそうに感じられます。そして、セティにもう一度会いたければ屋根に上って星空を見上げればいいと。


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何度か書いたように、この話はセティのキャラクターと俳優モリアーティの組み合わせが絶妙だったと思います。キャスティングのときも「宇宙人キャラ?それならマイケル・モリアーティだね」とすんなり決まったんじゃないかと(笑)

もうひとつ思ったのが、ドラマのゲスト出演ってもしかしたらレギュラー出演より宝の山なのかも、ということです。シリーズもののレギュラーは基本的に狂言回しなので毎回それほどはっちゃけるわけにいかないけど、ゲストだと特異なキャラクターや感情全開の演技が見られるから。L&Oならデニス・オヘアやジェリコ・イバネクの犯人役が印象に残ってます。しかしモリアーティのゲスト出演作ってものすごくたくさんあるので、それをチェックするためにいちいちDVDボックスを買ってたら映画作品を揃えるよりもっと物要りじゃないか!と気がついたところです。さてどうする?