『ホロコースト』 再放送

昨年の10月ごろ、マイケル・モリアーティ氏の定期投稿に「この記事はこれから1か月お休みします」とアナウンスがありました。「ヨーロッパへ行って『ホロコースト 戦争と家族』関係のドキュメンタリー制作に協力する」とのこと。

 

協力先としてアリス・アグネスキルヒナーという監督の名前が出ていたのでちょっと調べてみました。ベルリン在住の女性監督です。作品の中に『ベルリンのアパートメント』というドキュメンタリーがあり、それもユダヤ人迫害の歴史を今によみがえらせる内容だったようです。

 

そして今週、ドイツの有力紙フランクフルター・アルゲマイネのサイトに関連記事が出ました。以下、その内容を紹介します。ただしドイツ語から自動翻訳した英語で読んでいるので、解釈が正確でないかもしれない点はお断りしておきます。

 

それによりますと、ドイツの複数のテレビ局が1月7日から『ホロコースト』の各エピソードを順次放送の予定。初放送から40周年、開戦から80周年の節目での放送かと思われます。 

 

1979年のドイツ初放送時には、各エピソードを歴史学者が解説する形のフォローアップ番組があったそうです(このあたりについては視聴率と反響、およびデア・シュピーゲルの記事についての項目を参照)。今回も同じように、新しく制作された番組をフォローアップとして放映する。それがアグネスキルヒナー監督の制作によるドキュメンタリーだとのことです。

 

タイトルは”ホロコーストはいかにしてテレビ番組となったか”。内容は、アグネスキルヒナー監督が当時一大センセーションとなったこの作品の歴史を語り、また、その歴史の証人として出演者にインタビューするそうです。参加者はローズマリー・ハリス(ベルタ・ワイス役)、ブランチ・ベイカー(アナ・ワイス役)、それにマイケル・モリアーティ(エリック・ドルフ役)。

 

出演者たちは、やはりこの重い作品が自身にに及ぼした影響について語っているようです。

マイケル・モリアーティはエリック・ドルフ役を演じる重圧に耐えるため、精神科医にかからなければならなかったという。(中略)「役を演じるためには心を開かなければならない。そこに残酷なものが見つかったら、それは永遠に魂の中に残る」とモリアーティは言う。杖をつき、オーストリアのマウトハウゼン収容所跡に足を踏み入れながら。この収容所ではガス室の場面も撮影された。

 

マウトハウゼンでの撮影のことは、モリアーティの自伝にも小説にも強烈な体験として出てきます。ガス室や焼却炉が残っていて、他の映画などの撮影も行われた場所だそうです。『ホロコースト』ではアウシュビッツの場面として使われています(当時のポーランドでは「親ユダヤ的」な作品に対して撮影許可が下りなかったのだとか)。

 

作品の歴史もたいへん興味深いです。この作品が当時、ユダヤ人の側からもドイツ人の側からも 「ソープオペラ」だという酷評を受けたことは有名です。アルゲマイネ紙のニューヨーク特派員だったサビーナ・リーツマンというジャーナリストや、ホロコースト生還者の作家エリ・ヴィーゼルの言葉が引用されているようです。

 

それでもリーツマンは数か月後に「ソープオペラに変わりはないが、多くのアメリカ人がこの作品を通じてホロコーストを知ったのは事実」と再評価したということです。

 

このドキュメンタリーが放映されるのは14日。いつかは日本ででも見たいと思っています。

 

フランクフルター・アルゲマイネ紙の元記事「ホロコースト再放送:その衝撃」はこちら

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