The Equalizer 4-15 「星の炎」 その3

 
前の記事で、「モリアーティが宇宙人だと言うつもりはない」って書きましたが、訂正します。考えれば考えるほど、セティはモリアーティ自身だという気がする・・・つまり彼が現実世界に感じていた違和感を体現しているんじゃないかと思えるんです。

では、このあとのストーリーを。

マコールに指示されたミッキーがセティに会いにいくと、路上で急発進してきた車から銃撃されます。「セティが誰かに狙われている」のが本当だとわかり、やっと陰謀の存在が垣間見えてきます。

精神科医のドクター・ウルフの診断は、セティはもともと統合失調症の傾向があったが、なんらかの心的外傷を受けたせいで妄想の世界に逃げ込んでいる。友人の輪を広げることで、現実世界とのつながりを保たせ、正気の世界に戻る手助けをするのが唯一の治療法だという。

それに従って、マコールはセティを自分のアパートメントにかくまい、そこにアンバーを母親と共に連れてくる。セティはアンバー母娘やドクターと一緒に家族のように楽しく過ごす。幸せなひとときです。

一方ではミッキーが事件の核心に迫っていきます。セティの持ち物から、彼の本名をつきとめる。ウェイン・バージルという、エアロダイメンションズ社の元技術者。エアロ社は先日爆発炎上して死者を出したベガ−1ロケットの製造元で、別の航空宇宙企業との合併がせまっている。

もしや、セティ=ウェイン・バージルが狙われるのは、公式には「悪天候のせい」となっている爆発事故の真相を隠蔽するためなのでは?

セティを狙う勢力の背後には“カンパニー”がいるらしいことも判明します。追手が身近に迫り、マコールはセティをセーフハウスに移すことに。危険が現実のものである以上、アンバーを連れてくるわけにはいかない。彼女との接触を断たれたセティはまた心を閉ざしてしまいます。

マコールと、閉じ込められた鳥のように一日中窓際に座っていたセティの会話。

セティ   ああ、クォトン。エンドタイマーズを無力化してくれたかい?
マコール まだだ、だがもうすぐだよ。・・・・・きみが誰か判った。きみはウェイン・バージルだね?

セティは泣きそうな顔になりながらも、とぼけて見せます。

..... What is this Wayne Virgil?
そのウェイン・バージルとは何?

He's a good man who tried to tell the truth. But was threatened by the powerful men. Told to remain silent, and suffering because of the silence.
彼は真実を語ろうとした良い人間だ。だが権力のある奴らに脅された。黙っていろと言われ、口を閉ざしたために苦しんでいる。

I thought you were one of us, McCall.
(涙ぐんで)あなたは味方だと思っていたのに、マコール。

I am. I know what it's like. To remain silent, when you want to speak. I too have suffered because of that.
味方だよ。私にはきみのことが分かる。話したいのに、黙っていなければならないのがどんな気持ちか。私自身もそれで苦しんだ・・・・・

マコールの言葉を、セティは涙をこらえながら聞いています。相手のことをずっと“クォトン”と呼んでいたのに、途中で“マコール”と言ってますね。現実に戻りかかっているようです。「どうしてほしいのか」とマコールに訊きます。

I want you to give me any hard evidence you have against any of them. I want you to give it to me now. Then we can stop them immediately.
奴らの不利になる物的証拠が全部ほしい。私に渡してくれ。そうすれば今すぐ奴らを止められる。

セティはついに、自分が受け入れることができなかった辛い現実を告白します。

One of the Endtimers..... he was a friend, once. He can help us, maybe.
エンドタイマーズの一人は、ぼくの友達だった。かつては。彼なら助けてくれるかもしれない。




セティのキャラには、変なオフビートなユーモアがあります。

・ミッキーに初めて会ったとき。地下のねぐらから出るときに上げ蓋を足の上に落としてしまい、ミッキーにからかわれると「我々の本当の姿には脚がないんだよ。思考だけで走れるんだ」などと言い訳をするところ。

・マコールのアパートメントには厳重なセキュリティシステムがあるんですが、セティはそれを勝手に改造してしまう(天才技術者だから)。マコールが帰ってきたときに大きな警報が鳴り、一瞬で警戒態勢に入ったマコールの顔を覗き込んで「ちょっと改良してみた。どう?」って、なんかオウムかニワトリが人の顔をうかがうみたいな仕草で訊くところ。(マコールはドクターに「警報装置を勝手にいじらせるな」と怒りますが、「治療の一環だよ、いいじゃないか。クォトン」と返されてしまいます。)

宇宙人らしいともいえますが、ベン・ストーンの「なんだかヘンなところ」やモリアーティの他のキャラクターにもちょっと通じるものがありますね。