ベン・ストーン死す(公式に)

去年の夏(アメリカでの番組更改時期)、ディック・ウルフのシカゴ・シリーズのひとつである『シカゴ・ジャスティス』がシーズン1で打ち切りの噂が流れ、そのメインキャラのASAピーター・ストーン(フィリップ・ウィンチェスター)がL&O SVUにシーズン19後半から移籍というニュースが出始めました。

この時点で、ピーターが実はニューヨークのADAだったベン・ストーンの息子であることは『シカゴ・ジャスティス』の中で明らかになっていた(らしい)。

そしてSVUのエピソード19-13放送直前の今年2月3日に、その詳細をスニークピークする記事が出ました。ウィンチェスター氏自身へのインタビューです。”ピーターは父が危篤との知らせでニューヨークに来て、滞在中に父は亡くなった。その後マッコイにこっちで仕事しないかと誘われるという展開”とのこと。

https://cartermatt.com/289700/law-order-svu-season-19-philip-winchester-peter-stone-arrival/

最初にその記事を見たときはやはりショックでしたが、考えてみれば辞めてから25年もたって名前を出してもらえるなんて、キャラクターとしては超特別扱いです。やはりベン・ストーンは初代検事としてリスペクトされている、と感じました。

SVUのエピソードを実際に見るとさらにその感は深まります。冒頭、教会でのお葬式で、マッコイが弔辞を述べています。自分が新任検事だったときのエピソード。

私が検事になりたての頃、初めての担当事件で、被告弁護人が私に送る書類に、間違えて有罪の証拠を添付してきてしまった。それを見てどうしていいかわからず、当時みなやっていたようにストーン氏に相談に行きました(ここで遺影が映る)。「見なかったふりもできますが…」と言いかけるとベンはそれをさえぎり「できることではなく、なすべきことをするのが人間の務めだ。結果がどうあろうと。徳のある人間ならそうすべきなのだ」

ベンを失った世界は悲しい場所となった。崇高な魂が消えてしまった。さよなら、ベン・ストーン。

マッコイの弔辞が終わったあと、神父が「ほかにお話をなさりたい方は…」と訊いています。それでマッコイが(息子なら当然ひとことあるだろう)とピーターの顔を見ているが、ピーターは動かない。

ここで、マッコイとピーター・ストーンは少なくとも面識があることと、ピーターと父の関係がよくなかったことが提示されています。また、「できることではなく、なすべきこと」というあたりでバーバの顔が映ります。これがエピソード本筋の伏線ですね。


さて突っ込み編。
1 マッコイ新人当時はストーンが頼りになる先輩だったらしい…ほんとうか?堅苦しい正義感の人物で先輩としてもつきあうの難しそうだけど。補佐も長続きしなかったし。いやま、お葬式でそんなことは言わないだろうけど(笑)

2 「重要な書類を間違えて相手方に送ってしまう」ミスは、L&O世界ではよく起こるらしい。私が覚えている最初のケースは、プライム4−3「不協和音」(ロックスターがグルーピーをレイプした話)。クレア・キンケイドが証人の扱いでミスをする。

裁判後、クビを覚悟したキンケイドがデスクを片付けていると、鬼上司のストーンがやってきて、なぜかおずおずと切り出します。「むかしある新人が、内部メモを間違えて書類に添付したまま被告側弁護人に送ってしまった…」 三人称で話しだしたのに最後は "They gave me a chance" やり直すチャンスをもらった、と自分のことになっているのがオチでした。


お葬式場面の後、マッコイとピーターが裁判所のロビーで会う場面もありますが、それはまたのちほど。

ピーター・ストーンのキャラクターは、『シカゴ・ジャスティス』の前振りとして『シカゴP.D.』にも出演。ピーターがベン・ストーンの息子であることは上記の通りシカゴ時代から明かされていた。でもSVUしか見ていないファンにとってはきっと何のこっちゃらで、それを機にシカゴ・シリーズ(『PD』と『ファイア』は日本でも放送中)を見てもらおうという計算も感じます。ピーターの来歴についてもまた別途…