Law & Order 4-22 Old Friends 「旧知の友」


今日になってやっとちゃんと観ました。
どういうわけか録画に雑音が入っていて聞きづらく、観る気にならなかったせい。。。言い訳ですね(泣)

今回はサイコ・ストーンです。目的を達するために、焦点の合わない眼をしてあちこち無理強いしまくり。なぜそこまで追い詰められてるのか誰にもわかりません。シフもキンケイドも、たぶん本人にも。いままで抑制してきた怒りが『サンクチュアリ』以降、出口を求めているということなのでしょうか。

モリアーティ本人の状況を考えると、わけのわからない焦燥感にかられて行動し、いろんな人に必死で訴えかけていた当時の自分をなんとか表現したかったのかもしれない。ただし、これが彼の物狂いそのものとは思えない。きちんと計算された、狂気の演技です。(本物が現れているのは、彼の書くもの、あるいはラジオの録音・・・)

もっと現実的な考え方をすると、脚本上、仕事中毒のストーンが自ら辞める設定に持って行くには、これくらいしないと話の筋が通らなかったのかもしれません。それとも、最後にキャラクターを壊してしまうことを、誰かが望んだのでしょうか。


また30分くらいまで飛ばします。

ストーン、手始めに実行犯を脅します。それから怯えて偽証する証人を脅す。ロシア・マフィアとこの検事と、どっちが怖い?休廷した廊下で脅迫モード。いちだん低い声で「真実を話さないなら、起訴する」証人まだ抵抗します。

このときのストーンの顔。右目と左目の色が違う気がする。相手に襲いかかるのを避けるように右手へ歩き、壁際で立ち止まって振り返る。決心したのかひとつ息を吐いて戻ってくると・・・初めて会ったかのように証人に向き直り、「偽証罪で逮捕を」。このシーン、舞台のような動線があってよかったです。

(絵的にいうと、左手の高い窓から光がきていて、目の色の違いはたぶん左目だけに光が入るようにしているんだと思います。そして歩くときは右手のダークサイドへ歩いて行く。)

シフは偽証罪での起訴に反対。ストーンがシフの意見に反論するとき、口調がちょっとだけ子供っぽくなるのはいつも通り。だけど昼間のサイコぶりと比べると、この無邪気さはいっそ不気味です。

裁判。事前裁定に触れる発言があったので、弁護人異議、判事は注意。するとストーンは判事を脅すという挙に出る。「あなたの裁定のせいで身の危険を感じた証人が偽証し、私は起訴せざるを得なかった。彼女の身に起こることは、私と同様、あなたの責任でもある」 

判事、法廷の中で脅迫されたことが信じられない面持ち。一瞬、侮辱罪を口にするかと思いましたが、冷静に「聞き置きます。戻りなさい」とだけ言って裁判続行を優先。被告側が棄却を申し立て。翌朝までに新たな証人が出なければ認められる方向。

ストーン、拘置所で証人に会う。追い詰められてます。必死になればなるほど、夢の中で喋っているみたいに声が低くゆっくりになり、目が虚ろな感じになってきておそろしい。証言すれば、証人保護プログラムに入れる。しなければ、何もなし。翌日、涙ながらの証言、有罪判決。


この次がラストシーンですね。前の記事(8月8日)にあるのらさんのコメントがとっても詳しいので、もうそちらにお任せしたいくらいなのですが・・・

デスクでグラスを手にしているストーン。証人が殺されたことを喋りながら視線が一瞬カメラを向く(これ、のらさんの観察)。「ベン、あなたという人には、こうするしかなかった」とキンケイドに言われ、ふたたび、今度はもう少しはっきりカメラを覗きこみます。「そう思うか?」と尋ねられた気がしました。俺は本当にこうするしかなかったのか?

ストーンは視線を落とし、苦しそうにため息をつきながらグラスを上げてかぶりを振り(誰にも分からない)、涙を払うようにまばたきして、酒をあおります。

この一杯・・・今週のESRの連載に、モリアーティがリノ長官との会合からホテルの部屋に引き上げ、バーキャビネットを開ける場面があります。アルコール依存症の両親を見て育った彼は、それまで酒を飲むことを自分に許していなかった。それがこの瞬間から飲酒が始まったと言っています。ひとりキャビネットを開ける姿が、この10秒間のショットとだぶります。

シフとの会話。片方は酔ってるけど、互いへの思いやりにみちています。ドアを開けた後で、シフに心境を訊かれ、"I'm clear as a bell."  相手を元気づけるように微笑してうなずきますが、言葉とは裏腹に寂しげな様子です。ここのところ、字幕の「晴々としてます」を越える訳は思いつきませんでした。。。

シフが立ち上がって見送りますが、カメラはデスクの前の位置に残っています。二人は互いにちょっと照れたように笑い、ストーンはシフの後頭部に手をやる。きっと、ハグしたいのを抑えているのです。かわりに肩をぎゅっとつかみ、手を腕へ滑らせて(このとき顔はドアの外へそむけている)もう一度つかんで、出ていきます。ドア枠にもたれて見送るシフ。うつむいたところで溶暗。ニューヨークの街のざわめきがかすかに聞こえています。


はーっ。やっと終わった。
ちゃんと書く気になるのに、1週間かかりました(笑)
モリアーティは、このエピソードで言えるだけのことはけっこう表現してたんじゃないかと思いますが、こちらの思い入れでそう見えるだけかもしれない。少なくとも、彼の言いたかったことは45分のエピソードで表わし尽くせるものじゃなく、その後20年かかってもまだ言い足りないらしいので、まだまだつき合わされそうですが・・・ とりあえず毎日1話っていうノルマからは解放されたので、ゆっくりお付き合いしましょ。

ところで私、この後しばらくテレビが見られない環境になります。PCとDVDだけはありますが、L&O放送分はリアルタイムで追えません。。。マッコイさんに、よろしくお伝えください。。。