Law & Order 1-7 By Hooker, By Crook  「執念の追及」


エスコートサービスの客が心臓発作を起こしてセントラルパークに捨てられる。捜査から市の名士が対象の売春組織が浮かび上がり、ストーンが元締の女実業家を追い詰めるという話。刑事パートは面白いものの(グリービーが娼婦をだますところとか)、検察パートはストーンの強引な手法が強調されててついて行きにくい感じだったんですが、画面の演出が面白かったので取り上げてみました。

ストーンの標的は、ニューヨークよりニューオリンズが似合いそうな娼館のマダムです。その設定に合わせて、画と照明が映画調。フィルム・ノワール調のスモーキーなトーンはシーズン1の他のエピソードでもときどき使われてますが、今回はとくに多い。そして、ここぞという場面では必ず人物の背後にライトがあって、ドラマチックな逆光になってます。法廷シーンも煙ってる。証言台のマダムにはロマンチックなフットライト。

話は全部飛ばしまして(笑)マダムの証言の後がクライマックスです。裁判所のバルコニーで取引する場面は、弁護士は黒いスーツ着てるし、マダムはピンクで、あたかもオペラの宵か晩餐会に集まった人達のよう。普段のグレイのスーツを着たストーンが逆に場違いに見えます。そのストーンに、まるでマレーネ・ディートリヒのようにエレガントに取引をもちかけるマダム。だけど相手はゲイリー・クーパーじゃなくて、いつも通りの無表情ストーンなの(笑)

ラストシーンも映画風な凝った長回しです(ドラマにしては長い、だけど)。裁判所のファサード上部を階段下から仰ぎ見る角度で始まり、カメラが下を向きはじめると、建物の出口にいるストーンとロビネットが小さく映ります。前景では陪審員のひとりがインタビューを受けている。広い階段ではほかにもTVインタビューが行われていて、フラッドライトが印象的な光と影を作っています。

後景ではストーンとロビネットが階段を降り始めている。それを追ってくるカメラ。陪審員の話をロビネットがとらえてコメントし、ストーンがポーカーのジョークを言う。カメラはそのまま空へ舞い上がって、街角の様子を映し出す・・・

ご存知の方もあると思いますが、このショットの前半、見覚えありますよね?オープニングの"ORDER"の文字が出てくるところの画です。階段の上にいる、左側の黒っぽいコートがロビネット、トレンチコートがストーン。この二人、実はシーズン20まで毎回出演していたわけです。

このエピソードの映画風演出ってお遊び?と思いましたが、S1E7という早い段階でお遊びはないかな?そう考えると、もしかすると逆にオープニング用にこのシーンを撮るついでに作ったエピソードかも、という気がします。クレーン使ってるし、普段よりお金と手間かかってる様子。じゃあ、もったいないからそれに合わせて映画調で1話作っちゃえ!だったのかな、と。

この建物は高位裁判所、住所は 60 Centre Street  (入口の上に住所が大きく書いてあって、それが画面に映ることがときどきあります。)グーグル・ストリートビューにこの住所をコピペすれば、検事たちが歩き、弁護士と取引し、敗訴を嘆いたり勝利を祝ったりしたあのエントランスを、自分で歩くように見ることができます。あの大きい柱の上に彫られている文字は、THE TRUE ADMINISTRATION OF JUSTICE IS THE FIRMEST PILLAR OF GOOD GOVERNMENT とあります。

最後のシーンで使われているテーマ曲、ブルージーなアレンジで好きなんですが、他シーズンでは使ってないみたいで残念。

今回の引用セリフは笑ったところ。ジャスミン: "First time?" グリービー: "What?!"