"The Hanoi Hilton"ユーザーレビュー


"The Hanoi Hilton"は1987年作品、ベトナム戦争で捕虜となった米軍人たちの実話です。レビューしなければと思いつつそのままになっている作品の一つです。今日は感想じゃなく、この作品に関連したマイケル・モリアーティの「ちょっといい裏話」。IMDbのユーザーレビューに、この映画にエキストラで出演したという人が書いていた話です。どれかの記事のコメントに書いた気がするんだけど見つからないので再掲します。

僕たちエキストラは、俳優の邪魔をしないようにときつく言われていた。ある日、僕は食堂の列でマイケル・モリアーティの後になった。そのとき僕と仲の良かったエキストラ仲間がマイケルと会話を始め、彼の法廷ドラマに陪審員の役で出たことがあると言った。マイケルは友達のことを覚えていて親しげに話をしてくれた。

その日の午後、マイケルの計らいで友達はエキストラから「昇格」して台詞のある役をもらった。このことで、俳優として働くのに必要な映画俳優組合(スクリーン・アクターズ・ギルド)の組合員証をもらう資格ができた。役者になりたいという夢を持っていた彼には大きな前進だった。僕はそれまでも俳優モリアーティが好きだったけれど、それからは人間として彼のことを好きになった。

いい話だー。最初の文にある「邪魔をしないように」という指示は、撮影現場にもぐりこんでコネを作ったり、サインを貰って売ったりしようとする人達から俳優を守るためのものでしょう。そんな大人の配慮を自らすっとばし、よく知らないエキストラにここまでしてやるのは、マイケルらしい逸話だと思いました。

いままでいろんなニュースなどを見てきて感じるのですが、彼の人との関わり方はいつも対等のレベルで、距離を置くということをしない印象です。相手が本物の司法長官だろうと、たまたま現場で会ったエキストラだろうと、全身全霊で向き合って、相手からも同じ反応を期待しているみたい。というか、それ以外の関わり方を知らないようにも思える。純粋で、不器用で・・・天才だから許されるんでしょうが、俗世間ではうまくいかないことも多そう。

このコメントをした人が出た場面には、捕虜たちがハノイの街路を行進させられるシーンと、最後にアメリカへ帰る飛行機を待っているところがあるらしい。後者には「そこしか台詞のない役」が数人あるので、そのうちの誰かがこのエキストラ友達なのかもしれない。そう思うとこの映画に愛着がわきます。