LIFE 1994年3月号

 
今朝のことです。
ピンポーン 「羽田さーん(仮)、国際郵便です〜」来た!来ました!「マイケル・モリアーティ・オン・ザ・ピアノ」の載った雑誌です!

媒体は写真雑誌のLIFE、1994年3月号。その中の "My Other Life" という、有名人の隠れた素顔を毎号紹介するコーナーのようです。一応は名の通った俳優だけど、ミュージシャンとしては知られていなかったマイケルは理想的ですよね。

ところが時期が微妙でして、撮影が1993年10月、リノ長官との運命の対決の直前なのです。だから撮影から掲載までの間にすっかり事情が変わってしまい、マイケル自身が94年1月頃の日記で「この記事はキャンセルになるかも」と書いている。それでも掲載されたのだから貴重な写真といえます。

キャプションでは、彼の司法省との戦いを短くまとめてあり、ベン・ストーン役を降りると発表したことにも触れています。それとともに彼がマンハッタンのあちこちのジャズクラブで演奏したり、自分で書いたオーケストラ曲を発表したりしていることを紹介。

さて、かんじんの写真です。
裁判所の階段の前に置かれたピアノとタキシードの黒を基調に、ハイライトをいっぱい使った派手な画面を想像していたのですが・・・

んん、思ったより地味な写真だわ。
マイケルが目をつぶっているせいかもしれません。
ピアノの前で横顔を見せて座り、やや背を反らして、自分の音に集中しているかのように目を閉じている。口許にはいつもの笑い。
両手は鍵盤の中音部に、右足は(動かなかったという)サステインペダルの上に。

タキシードの上には薄い生地のトレンチコートをはおっています。コートの裾は燕尾服代わりのように椅子の後に垂らしてある。
このせいでちょっとストーンぽく見えます。まさに「歌うベン・ストーン」の姿。

ピアノはYAMAHAです。譜面台の上に楽譜が数冊とノート、いちばん手前には手書きの譜面。アルバム Reaching Out のジャケットのような感じ。

屋外で撮っているわりには、ジャズクラブのかぶりつきで演奏を観ているような親密な印象の写真です。

キャプションはさらにあるジャズ評論家を引用。”ファット・チューズデイズ”でのライブを評して、「モリアーティの洗練された曲と演奏は評価できるが、歌う時に "dimpled charm" をひけらかしすぎるきらいがある」と。もちろん、ジャズを聴きにきた観客を魅了するのに俳優の笑顔を使うなんてフェアじゃない、というジョークなんですが。

それに対するマイケルの答は、「そこについては、どうしても謝る気になれない」 あはは、ええそうでしょうとも。笑った顔がそんなに可愛いのはあなたのせいじゃないし、ファンは喜んでそれにやられるんだもの。

ブロードウェイの舞台と同じく、今になって観たいと思っても絶対無理なライブ演奏だけど、ちょっとだけその臨場感を味わえる写真でした。幸せ。