Law & Order 3-16 Jurisdiction 「裁きの権限」

 
復活しました!きょう再放送していたこのエピソード、前から感想を書きたかったのでさっそく。話は面白いしゲストは豪華。証言台のストーンとか、見どころがたくさんあります。私の一押しはエレベータ前の"Sure" .....異論はたくさんありましょうが、ここは譲らない(笑) 残念なことに、シャンバラ・グリーンとストーンの幸せな時代はこれが最後。次の出会いは4-19「サンクチュアリ」で、二人は立場の違いから決裂してしまいます。

マンハッタンの看護婦寮での殺人。類似事件がブルックリンでも起きていた。メディアの注目を引いた事件で、ブルックリンの警察署はさっさと犯人を挙げたが、実際には刑事が知的障碍のある青年を操って犯人に仕立て上げたもので、地方検事補も、それと矛盾する証人の存在を知りながら握り潰し、青年を訴追し有罪にした・・・という話。

これ、ブルックリンの警察の不手際のせいで、マンハッタン事件で青年を起訴できる証拠が差し止めになった。マンハッタン側は面子を潰されたので一生懸命になったという事情もあります。彼らが対抗心にかられて頑張らなければ、不運な青年は上訴の機会すらなかったかもしれない。ここではマンハッタン組はいちおう正義の味方を演じているけど、よく考えるとそんなに善人というわけじゃない(笑) 

事件発生直後、クレイゲンが「メディアがリチャード・スペックの再来と呼んでる」と言います。スペックは1966年、シカゴで看護婦寮に押し入って8人を殺した男。ほかにも数件の殺人との関わりが疑われ、連続殺人者と大量殺人者の両方の顔がある。600年の懲役を宣告され、1991年に獄死した(どれかのエピソードで、ストーンがロビネットに向かって彼の死に言及している)。

ブルックリンが挙げたスケープゴート、弁護人はシャンバラ・グリーン。オリベットの面接でロースクールに行ったと嘘をつき、指摘されると「テッド・バンディは行ってたぞ」 今度はバンディですか。こちらは1970年代に毎週のように女性を殺していた男。連続殺人犯には珍しく、頭がよくハンサムで人に好かれた。最後に逮捕された時にはロースクールに通っており、拘置所でも法律を勉強していたという。18件の殺人で起訴されたが、実際の犯行はもっと多いと考えられている。

自白の証拠が排除され、マンハッタン組は「2フィートのパットを失敗した素人」(ロビネットの台詞)みたいに見えて悔しがる。挽回を期した捜査で、処方薬密売人の話から別の犯人が浮かぶ。売人は、犯人の名前を自分の罪状の取引材料にしたい。ところがブルックリンはその話を知っているはずなのに無視しているらしい。

ストーン、ブルックリンの検事に会いに行く。「作り話だ」という刑事に、「マンハッタンでは有力な証拠を握りつぶしたりしない」 静かな調子だけど思い切り喧嘩売ってる(笑) 売人と取引し証言させろ、役に立たせろ。と迫りますが、ラザー検事から「何の役に?あんたのメンツを救うためか?」とせせら笑われ、文字通り唇を噛む。

シフとストーンが、ブルックリンは有名事件をさっさと「解決」したいだけだ、売人に証言させるにしても、ブルックリンの協力がなければ・・・と喋っているところへ、シャンバラ・グリーンが申請した召喚状くる。ストーンは「ブルックリンで陪審に売人のことを話せる」と乗り気ですが、シフは検察同士の協力関係を慮って諦めさせろという。

だけど予測通り、ストーンはグリーンにノーと言えません。このシーン、廊下の向こうから出てきてこちらへ歩き、角を曲がってエレベータの前までという動きに、いつものような早口の長セリフで忙しいです。

彼は利用されてるの。でも証明できないし本人は侮辱されたと怒るし。売人の話を繰り返してくれるだけでいいから。 それじゃ伝聞だろ。 自己に不利益な話だからいいの。あなただって無実だと思ってるでしょう。 私の意見は証拠にならん、売人を証言台に立たせればいい。

I've already tried talking to his layer. It seems unless somebody pays the piper, the piper plans to take the Fifth.
売人の弁護士と話したけど、報酬がない限り、修正第5条(=自己に不利益な証言をしない権利)を行使すると。

And why use a tin flute when you get a trumpet, right?
トランペットがあるのにブリキの笛を使うことはない(=本人の証言に勝るものはない)だろう?

The fact that the Executive Assistant District Attorney might make a better impression on the jury never crossed my mind. Girl Scout's honor.
あら、麻薬の売人より、上級地方検事補のほうが陪審への印象はいい'なんて、一度でも頭をかすめたことはないわ。ガールスカウトの名誉にかけて誓う。

ストーン、こう言われては惚れた弱み、逆らえません。天を仰ぎ、首を振ってから"Sure." (わかった。)とちっちゃい声で答えてます。可愛いなぁ可愛いなぁ。

ブルックリンの裁判所で、証言台のストーン。しかも弁護側証人。なんだかコスプレっぽいです。弁護側質問が終わってシャンバラににっこりしてもらう。よかったね。

次のラザーの質問ではあさっての方を向いてる。ストーンがこうやって背を丸めて座っている様子からは、なぜかいつも猫を連想します。青い目をした大きな白い雄猫、椅子の上でうずくまってて、かまうと歯をむいてしゃーとか唸るの(笑)

ラザーの質問とストーンの応答は、裁判のためというよりお互い意地の張り合いみたいになっちゃってます。ラザー「あなたの証言の動機は被告のためではなく、自分の無能さを隠すためのスケープゴートをさがしてるんじゃないか」 シャンバラが、ストーンを守ろうとするかのように(いやもちろん依頼人を守るためなんだけど)「裁判長!」 と叫びます。 「私の動機は関係ない、事実を述べるだけです」

上司命令に逆らってまでした証言もむなしく、ブルックリンで青年に有罪評決。ストーン、麻薬担当特別検事を使えるかも、といって捕まえにいく。さっきと同じく、建物の正面から出てきて右へ歩き、こっちへ曲がってきて車に乗るという動線、プラスまたもや早口の長台詞。こんどは背の低い相手に上から被さって喋るという縦の動きまで混じってて、ついでにすれ違った人が雪に滑って転びそうになるとか、忙しい場面です。

ブルックリンの頭越しに売人と取引することに成功。怒り心頭のラザーがシフのところに来襲します。「ストーン、あんたの尻尾にブリキ缶を結びつけてやる(やっぱり猫かい!)。メディアに売人との取引をばらす」というラザーに、シフが反撃。いろんな人に守ってもらってるストーン(笑)

真犯人を逮捕する。普通なら取引しないが、無実の青年が速く釈放されるようにしたい。管轄外のブルックリン事件は、シフに頼みこんでまた麻薬担当検事という奥の手を使って一任してもらう。「だがすぐに出られるとは期待するな。それにもっと長い年数で取引しろ」

ポール・マクレーン演じる真犯人と。「故殺じゃなく謀殺で有罪にできる、マンハッタン事件もブルックリンも」と強気に出るストーンに、弁護士 "With what, your boyish charm?" 「どうやって?その童顔の魅力で?」 (あ、あははは・・・) ストーンはにこりともしませんが、次のセリフまでに一拍間があきます。 終身刑相当だが、第二級謀殺で2件を同時執行、最低25年。

青年に面会する場面。ここの演技は完全に青年役が持って行ってました。この役者さん、『ザ・プラクティス』でレギュラーだったなぁ。そしてブルックリンのでっちあげ刑事は内部調査部に逮捕される。「レニー、これは間違いだ」 「間違いはあんただ」 ブリスコーの台詞、冴えてます。

最後の字幕に出る、ラザーが退任して入所したスミス&ブラッドリーは、ウォール街の有名法律事務所として最近のエピソード(3-12)にも出てきてました。こいつはヤメ検として華麗に転身したわけですね、結局・・・