ラチェッド婦長ふたたび

 
カッコーの巣の上で』の朗読を苦労してウォークマンに落としたのに、操作ミスでファイルを失ってしまった(泣) イチから録り直せばいいんだけど、テープのご機嫌をうかがいながらなのでまた時間がかかりそう・・・

とりあえず概要を。テープは2本あり、45分x4面=180分。映画より長いです。でも原作の全文を朗読しているわけではなく、飛ばしてある場面もあります。分量としては6-7割というところか。また映画と朗読では、採用した場面としなかった場面が異なっています。たとえば患者たちが釣りに行くエピソードは、映画ではけっこう時間を割いていましたが、朗読ではまったく採用されず。その逆のパターンもあります。

では、一番気になるキャラクター、ラチェッド婦長について、原作からもう少し。前回、彼女は患者たちを抑圧し支配する存在と書きました。みずからの言葉でかれらを服従させるだけでなく、「ニワトリの群れが弱いものをつつき殺すように」、患者同士に互いの弱点を攻撃させるようなテクニックも使います。

ところで、このミス・ラチェッドは実は巨乳であります。しかし彼女は常に冷静な仮面を保とうとしているので、性的なイメージはどうしてもそぐわない。だから大きな胸も糊のきいた白衣の下になんとか押しこめようとしていますが、隠しきれなくてマクマーフィの容赦ない冗談の種にされてしまいます(いまの基準では思い切りセクハラですが・・・)。

そしてクライマックスでは、マクマーフィが彼女に襲いかかって首を絞める前に白衣の前を引きちぎると、巨大な乳房がぶるんぶるんと飛び出し、誰も想像したことがないほど大きく、大きく、日光のもとに暖かなピンクの塊となって膨れ上がる・・・・・

映画ではさすがにこの部分は採用されてません。映像化はちょっと無理だったんでしょう(笑) しかし、ラチェッドの人物を考えるときには結構重要な点じゃないかと思います。そう、恐るべきグレート・マザーとしての顔です。どこまでも膨れ上がって部屋いっぱいになるかと思われるその乳房は、子供を養い育てるためのものであるけれど、同時に相手を窒息させるものでもある。その正体が最後になってついに暴かれる、というわけ。

朗読では、このあたりは原作に忠実に読んであります。支配的な女性への恐怖がよくわかる感じです。でも、普通人の目にはラチェッドの姿とリノ長官とは直接結びつかないと思うけどね・・・(笑)