Law & Order 3-5 Wedded Bliss 「ドレスに潜む闇」

 
Sweatshop = 社会的弱者を安い賃金と劣悪な条件で働かせる縫製工場の話。「善良そうな夫婦が裏部屋にダッハウを隠しているなんて誰も信じたがらない」とストーンが、「奴隷制?今は20世紀だと思っていたが」とシフが言ってましたが、21世紀になっても同じことは行われております。ただ違うのは場所ですね。いまどきはマンハッタンにこんな縫製工場があるなんてことは多分なくて、現場が中国からベトナム、さらにバングラデシュへ移っていたりするんだと思います。

だけどこの話を取り上げたのはそんな社会問題を語ろうというわけではなく、18-8「法に背くとき」でお気に入りだったレイサム検事補役の役者がゲストで出ているからなんです。あの話で「これがストーンだったら」と想像して笑ってた人とストーンの直接対決が見られるわけ。

この俳優さんの名前はジョン・パンコウ。18-8でマッコイに逆らう敵役の検事補とおなじく、3-5でもシニカルで憎々しい弁護士です。役名はチャールズ・メドウ。15年前ですから髪はもっと黒々してますが額の張り出し具合は隠せません。後半早々、ストーンのオフィスに現れてオデコ対決(!)です。

Beautiful, Charlie, he makes slaves of them and he kills them? Did you have to take this case?
驚いたな、チャーリー。子どもを奴隷にして殺した男?なんだってこんな奴の弁護を引き受ける?

とストーンが先制攻撃をかけると、それを上回る嫌味で応酬します。

Where's the congregation, Reverend Stone. That sermon can't be for me.
どこの教会で喋ってるんだ、ストーン牧師。そんな説教は私には通用しない。

うーーん、台詞だけじゃなくシニカルな笑いが素晴らしい。ロビネットのことも一瞬で怒らせております。

話の途中で、判事の前で秘匿特権の議論になる(ウェディングドレスの話で、配偶者秘匿特権が問題になる皮肉・・・)。ストーンが被告の妻を証言させたいというと、

Judge, what country is he practicing in? No court in New York, trial or appellate, encroaches on the sanctity of marriage. You can't compel her to testify.
判事、彼はいったいどこの国の検事でしょうかね?一審だろうが上訴審だろうが、ニューヨークの裁判所が結婚の神聖を侵すなんてありえない。彼女に証言を強要するなんて問題外です。

こういう嫌味の応酬も米国ドラマの醍醐味のひとつであります。さらにストーンが「特権には例外がある。彼女はその場に偶然居合わせたと言っている」と主張すると、

Deeply surprised. I'm sure you didn't put words in her mouth.
それは驚きだな。どう話せばいいか教えたわけじゃないと信じてるよ。

証人操作をほのめかされたストーンの「信じられん」っていう様子がよかったです。隣に座っている相手の方を向いて怒っている。この顔が美しいんですよね。まあ、私は彼が横顔を見せてくれれば何でもいいのかもしれないですが・・・。さすがに判事も叱責の必要を感じたようです。

You want to insult his intelligence, fine. You will not accuse him in my chambers of suborning perjury.
彼の知能をこきおろしたいのなら好きにしていい。だが私の執務室で、偽証教唆の言いがかりをつけることは許さん。

そう言われても、メドウ弁護士はあんまりこたえた様子もなくニヤニヤしています。この憎たらしい感じが、最後にストーンから取引を迫られる場面を爽快感あるものにしています。これがこの人の持ち味なのかも。

そしてオデコは、よく見れば見るほど同じ形(笑)