Law & Order 11-15 Swept Away - A Very Special Episode 「特別エピソード」

 
やたらと長い原題・・・"Swept Away"だけでもよさそうな感じもしますが。

11-15、冒頭のブリスコーのミュージカル発言で別の方向に行ってしまいましたが、内容の方も「テレビ番組に誘発された暴力」がテーマとくれば取り上げないわけにはいかないだろうと思いました。なにしろベン・ストーン降板のきっかけとなった問題ですから。シーズン4からずっと続いているテーマであります。

原題の"Swept Away" は、4-1"Sweeps" 「犯罪のお膳立て」と同じスウィープという語にかけてあります。もとは箒を使って床を掃くことですが、そこから(視聴率を)かっさらう→視聴率強化月間の意味に使われているようです。

4-1といっても見ていないか覚えていない方がほとんどでしょうから少し説明を・・・やはりテレビと暴力をテーマにしており、当時、司法省から暴力的と難癖をつけられていたLaw & Order が弾圧に対するレジスタンスとして作ったエピソードだというのが私の説です。詳しい背景については前の記事を参照。

ストーリーは、ジェリー・スプリンガーみたいな対決ものの番組で、精神科医と、彼に性的虐待を受けた少年とその母親が対面する。そこへ予定を知らなかったはずの離婚した父親が現れ、オンエア中に精神科医を射殺する。

プロデューサーが視聴率を煽る目的でロケ地の情報を少年に漏らし、父親に教えるように言ったことが判明。ストーンは父親と取引しプロデューサーを起訴する。弁護側は言論の自由を主張するが、プロデューサーが他のエピソードの舞台裏でも「誰かが死ねば視聴率が上がる」と発言していたことが決め手になり、有罪に。

ということで、殺人の実行犯をたきつけた黒幕はリアリティ・ショーのプロデューサー(ディック・ウルフ似)でした。11-15でもはじめはプロデューサー夫妻が疑われたけれど、彼らは実は出演者思いのいい人達だったことがわかり、ラスボスとしてネットワーク局の部長が出てくる。ちょっとレベルアップしてます(笑) 

この、「髪をジェルで固めた若僧」とマッコイの会話がキメでした。

So suddenly a television show is responsible when some kid goes nuts?
どこかのガキがキレて人を殺したら、いきなりテレビ番組の責任になるのか?

Not a television show, Mr. Stark. You.
テレビ番組じゃない、ミスタ・スターク。あなただ。

いつものパターンで社会問題を個人の犯罪にすりかえられてしまった感じがしますが、それ以上に、暴力を煽るのはプロデューサーの考えじゃなくテレビ局の要求なんだ、と逃げられた感もあります。そういう意味で、問題に正面から向き合ったとは言いがたいかな、という出来です。

それでも、番組がストーンを失うことになった(代わりにマッコイを得たわけですが)問題が忘れられていないことはなんとなくほっとする。まだやってたのね、この話。と感慨深いエピソードでした。