映っていないところが気になる

 
以前にどこかのコメントにも書きましたが、Law & Order でストーンが組んでいた脚をほどくのが衣擦れの音でわかるところがあります。どのエピソードか覚えてなくてずっと探してたら、なんと1-9「親失格」だったことがわかりました。虐待親のエピソード。オフィスでシャンバラ・グリーンと会うところはかなり詳しく見て感想を書いたつもりだったのに忘れてたなんて。きっとまだ感想を書いてないエピソードのどれかなんだろうと思ってたけど盲点でしたー。


画面の下、映っていないところばかり気になったりとか、イアフォンで音を聞いてたりとか我ながら偏執的ですねぇ(笑)でも、ちょっとだけ分析してみましょう。この場面は特に室内の音がはっきり入っていて、じっくり聞くと耳が痛いくらいです。

オフィスでシャンバラ・グリーンと被告、ロビネットが待っているところに、ストーンがシフの部屋から戻ってくる。歩いてるとなんだか金属音も聞こえます。ポケットに5セント貨でも入ってる?グリーンの向かい側、被告の左手の椅子にかけ、右脚を組む。この動作は上からのショットで映っています。斜めに座ってるのでグリーンと話しているときは半身の姿勢です。つまり、被告の方を向いて座りながら顔と下半身を左へひねっている状態。

直前の公判での検察側証人が強力だったことについて会話があり、グリーン弁護士がテーブルに乗り出してこう切り出します。

Let's plead her down.  取引を。

On what basis? 条件は?

The basis of her being willing to accept limited culpability with mitigating... 罪状を一部認めるぶん、酌量を・・・

グリーンの台詞の途中で、被告の声が聞こえます。 I did it. あたしがやったの。

ビネットのショットを経て、彼女が映る。 I killed Didi. あたしがディディを殺した。

ストーンにカメラが切り替わると、さっきまでにこやかだった表情から一変して、鋭い目つきで被告を見ている。その目をさっとグリーンに戻して姿勢を変えると、テーブルの下で組んでいた脚をほどく音と、靴が床につく音がする。

これだ!長い間探してたのはここでした。

音が聞こえたからって、それがどうした、って感じですが、こういう見えないところにこだわりたくなるのは、ストーンの場合ボディランゲージで表現されていることが多くあると思うからです。

この被告はとても混乱した人物なので、最初は会話の対象になっていない。ストーンが彼女の反対側へ脚を組むのはその現われです。ところが「あたしが殺した」という発言で、グリーンの方を向いていた注意がぐっと被告の方に引き寄せられる。これが問題の仕草。けれど弁護士がどう出るか、目は配っている。上半身と下半身の動きで微妙な緊張感をかもし出してます。

ちょっと図式的ながら、それぞれの向きがこんな感じ。

視線    グリーン → 被告   → グリーン
上半身   被告   → 被告   → 被告
下半身   グリーン → グリーン → 被告

この場面、何度見ても新しい発見があって飽きません。ひとつ前のシフとのシーンと合わせて、ストーンのベスト場面の一つだろうと思います。

L&Oの音声はこういうところが非常にリアルな上に、街のバックグラウンドノイズも常に被せてあって、時にはうるさい感じがするくらいです。しかしこれがリアリティを感じさせる大きな要素でしょうね。


ところで、もう一つ不明なのが「カーディガン姿でマグカップを両手で持ってるストーン」です。以前にコメントで2-11「舞台を降りる時」だと教えていただいて、確かにその通りの場面でした。ただ、自分の記憶と細部が違っていたのでもう一つあるのかと思って探しているんですが、やっぱり見つからない。こっちは記憶違いの可能性が高いかも・・・