Law & Order 2-13 Severance 「知略の攻防」


シーズン1〜4をランダムに観ようと思ってたのですが、選びきれなくて、放送予定表を見て今週再放送してた分にしてみました。

ストーンの宿敵アーサー・ゴールド弁護士初登場の回、でしょうか。私、放送時にストーンが骨折して腕を吊っている姿は見た覚えがあるのに話を全然記憶していなかった。きっと観ながら居眠りでもしていたんでしょう。。。あの頃の私はなんてお馬鹿さんで、そして平和に暮らしてたんでしょうか(笑)

政治的な含みのない軽めのストーリーですが、そのぶん会話とプロットに凝ってあって秀逸。人間としてのストーンがややコミカルに描かれていて、ストーン・ファンにはおいしいところが多い。海千山千のゴールドとの攻防、シフやロビネットとの会話は、どれも緊迫感に満ちています。リアクションは鋭く、視線が動くたびに空気がピクンとします。(シーズン4終盤の間延びした反応とは大違い。)さらに怪我とカーディガンで母性本能をくすぐってくれます。狙ってますねー。

国防省がらみの詐欺事件でFBIの証人だった女性が殺される。詐欺師、実行犯、連絡役の悪徳弁護士の三人の共謀か。・・・ストーリーをまた後半まで飛ばします。

三人組を弁護するのは、エグイやり方を得意とするアーサー・ゴールドとその弟子たち。6年前、ストーンは彼に敗けたことがあるらしい。そのことをロビネットに言われ、「あれは判事が根負けしたんだ」と反論。いつもの冷静さとはすでに調子が狂っております。シフに「取引しろ」と言われ、「それは命令ですか?」と非常に不満そう。

証拠排除の申し立てでは引き分け。次にゴールドがストーンに被告の一人と接触があることを理由に不適格を申し立てます。頭にきたストーンはとっさの対抗策で分離裁判(原題Severance)を提案。うまく反撃したつもりでしたが、あとで、ゴールドにまんまと嵌められたことをロビネットに指摘されます。

「分離は不利です。もし向こうから提案されたら怒りまくったでしょ?やつはあなたの反応を狙ってたんです。・・・ゴールドに水際へ連れて行かれて、頭から飛び込むなんて」*1  おいおいロビネット、鬼上司にそんなこと言って大丈夫か?

でもロビネットは正しい。どのボタンを押せば欲しいリアクションが返ってくるか、ゴールドはすっかり見抜いてました。冷静冷徹な鬼検事は仮面であって、その下にいるのは、対抗心を煽られればあっというまにテストステロンに支配されて馬鹿なことを口走るアイリッシュ男だと。(ここ、ちょっと俳優さん本人とかぶりますね・・・)

それを自覚してるから、ロビネットに怒れないで拗ねるだけのストーン。マグカップから飲んでるのは本当にコーヒー?腕のサポーターとあいまって隙だらけ、もう抱きしめてやりたい。デスクの正面顔じゃなく、テーブルに座って横顔を見せているところもよろしい。この人の鼻の形って可愛くて大好きなんだけど(キャスパー!)、普段のストーンはなかなかこんな風に真横からじっくり見せてくれないからね。

さてここでちょっと外れて、なぜテニスで怪我なのか?についてです。警察パートで分署を訪れたロビネットが、にやりと笑って「ロブに飛びついた」と説明してますね。そう、これ伏線なのです*2。球を打ち上げられたら追いかけて飛びつかずにいられない性格。転んで骨折してもちっとも懲りないで、ゴールドの上げたロブにまた飛びついてしまったストーンです。

ストーリーに戻りますと、感情にまかせて行動したことをシフに叱られますが、重要なヒントももらいます。頼りになるお父ちゃん、いや上司。結果的に分離が有利に。いったんは証拠排除されたテープを使い、一人ずつ攻めるドミノ倒し方式で勝てそうです。

被告の一人、悪徳弁護士が取引の交渉に訪れます。この被告はロビネットの担当なのでストーンは離れて見てます。助けを求めて「ベン」と呼びかける悪徳弁護士。そのときの反応・・・

ストーン、視線がごくわずか上へ動き、下まぶたがぴくりとする

これだけで拒絶の返事になってます。こういうところの演技が絶妙ですね。次の「何とかならないか?」という弁護士のセリフは、すでに負けを認めています。ストーンは何も言わずロビネットに視線をやるだけ。

ストーン対ゴールドの1回目は、ストーンの勝利。裁判には勝ったのに、嵌められたことについてまだ負け惜しみを言いたいストーン。ゴールドとの会話が子供の口喧嘩みたいで可愛いったら。

Silver platter, I handed it to you, Ben. You would never have thought to sever those cases had I not moved to disqualify.
とんだプレゼントを献上してしまったな、ベン。私が不適格を申し立てなかったら、君は分離裁判など思いつかなかったろう。

I was going to use that tape, Arthur, severance was the only way.
最初からそのつもりだったさ。テープを使うにはこの手しかなかった。

(う、嘘ばっかり。でもゴールドの方もなんかちょっと見栄をはってますね)

そしてロビネットに「あいつと昼飯なんか行くんですか?」と訊かれての捨て台詞が、

Only if he orders crow.
カラスでも食わせてやるさ。

えっ?カラス?カラス料理?最後になってずっこけちゃいました。「カラスを食べる」には、自分の負けや失敗を認める、屈辱を味わうという意味があります。ゴールドにまだ仕返しし足りないんですね。もう、最後までストーン可愛い!で、あちこちくすぐられてるようにニヤニヤしっぱなしのエピソードでした!
 

*1:「馬を水際に連れて行っても、水を飲ませることはできない」ということわざを元にしております

*2:別に、モリアーティが怪我してたわけじゃないと思います。