Law & Order 1-11 Out of the Half-Light  「終わらない憎しみ」


黒人の少女がレイプされたと思われる状況で発見される。犯人は白人の警官だとされ、捜査に下院議員が介入してきていきなり政治的になる話です。

人種問題はいつも難しいですが、マーティン・ルーサー・キングJr牧師の後継者を自任しているこの議員があからさまなヒール。事件を政治ショーに仕立てるつもりで被害者のことは気にかけていないのが明らかなので、あまり悩まずに観られます。

議員がハーレムにある使われていないバプテスト教会を「サンクチュアリ宣言」(S4E19と同じですね)して演説を始め、検察組が早々にクレイゲンのところへ出向いてきます。現場へ移動、グリービーとローガンに合流して5人で通りに並ぶ。おっと、この構図はちょっと珍しい。プロモに使いたいくらい。

クレイゲンはグリービーを中へ行かせようとする。ストーンが止めます。「警部・・・」 「うるさい」 わー、ストーンに向かって何ということを。命知らずクレイゲン。

(クレイゲンとストーンがこういう緊迫した会話を交わす場面って少ないですよね。おぼろげな記憶ですが、私は多分ここで並べてみてやっと二人の区別がついたと思います。むき卵がストーン、むいてないのがクレイゲン。そして、ストーンって意外とハンサムかもと。)

突入は案の定バックファイア。クレイゲンのオフィスで内輪もめ続行。翌日、新聞が騒ぎを大きく報じて怒ってるストーン。オフィスに来るなり上着を脱ぎ、襟もとを緩め(動作は映ってない)、袖をまくります。(ああ、ネクタイ緩め見せてくれないなら腕まくりでもいいわ。)議員に会うといってどこかに電話をかけ始めますが、唇が動いてるぞ。

病院で議員に会ったストーンは、レイプが狂言であることを議員も知っていると察します。しかしメディア操作にたけた議員のせいで、検察側はあいかわらず劣勢です。こういうときの武器も法制度しかない。大陪審を使う。被害者親子とカウンセラーを召喚、議員も呼ぶ。議員「アメリカの法体系には不公正があるから、それに従う必要はない」検事「法は黒人コミュニティのためだけでなく、国民全体のためにある」平行線です。

議員が大陪審に出さなかった少女と母親を侮辱罪で訴追。判事は不平等の存在を認めながら、だからといって法に従わないことは許されないと裁定。さらに議員と弁護士の態度を厳しく批判します。それでも、状況は手詰まりのままです。

ここからロビネットが活躍。ハーレムの神父に助力をあおぎに行きます。議員は人種間の対立を30年前の状態に戻してしまった。なんとか会えるように話をつけていただきたい。会話しているうちに思わず本音が出ます。法律家になったとき、高報酬の弁護士の道を捨てて社会のためになるこの仕事を選んだのに、白人の手先(Oreo)と呼ばれるのが情けない。

ビネット、神父の助力で、家族を議員から切り離し、訴えを取り下げさせることに成功する。怒った議員とダイナーで会う。「おまえは今の法体系が平等だというのか?」「差別が合法だった時代は終わった。今は心の差別が残っている段階だ。それは一朝一夕に解決しない」それでもキング牧師もどきの言い草を振りかざす議員に、びしりと切り返すロビネット。「キングは天使とともに歩んだ。あなたは私欲にまみれてのたうっている」くーっ、かっこいいぞポール!!

せっかくロビネットがまとめたのに、シフはこの結末が気に入りません。落ち込むポールを慰めるストーン。だけど慰め方もストーンらしく突き放したものです。

You made a decision based on something from within. You live with it and examine it. It's all you got.
「君は自分の中にあるものに基づいて判断した。それを受け入れ、正しかったかどうか自分で考えろ。それしかない」

And by the morning I come to love it?
「それで朝には気分が良くなると?」

No, but I don't think you will have any problem looking at the guy in the mirror. I'll see you tomorrow.
「わからん。だが少なくとも自分を恥じることはないだろう。また明日」

ストーン自身のストイックな行動倫理がわかるセリフです。やっぱり、最後はあなたが持ってっちゃうのね・・・