ベン・ストーン降板騒動、つづき


降板騒動話、まだ続きます… 今度はどちらかというとビジネス・サイドについて。

ディック・ウルフが実際に語ったとされる言葉に、"actor-proof"というのがあります。うまく訳せないけど、water-proof(防水)やbullet-proof(防弾)と同じく、俳優に起因するリスクを排除済(=役者が辞めたがったり人気が落ちたり、ギャラ値上げを要求したりしたらさっさと別のに取り替え、番組はダメージを受けずに続けられる設計になってる)、という意味だと思います。*1

93年当時、プロデューサーは新シーズンの計画をひそかに持っていたのでしょう。その理由はおそらく、視聴率テコ入れのためキャラクター入れ替え、 and/or 俳優の「不安定な行動」を受けてのことかと*2。後者は、検閲への過敏な反応とおそらく原因が同じだから、時期も同じ頃かと思います。

どっちにしろ、ダメージを受ける前にプランBを用意しておくのは、ビジネスとしては当然の対応です。後任のキャラクターを作って、それに合う役者を探し始める。50代となればそれなりのキャリアのある人になるから、翌年半ばからのスケジュールを早いうちに押さえておかねばならない。となると93年のうちに動いたのは別に時期尚早ともいえないですね。

そして、リィンさんから頂いた情報によると、これがモリアーティが正式に辞める前にプレスへ漏れたらしい。出所はエージェントかもしれないし、うがった見方をすれば、リークってこともあり得るかも。

モリアーティ自身は「不当に辞めさせられた」とも「こっちから辞めてやった」とも語っているみたいです。おそらく、「自分から辞めると言わざるを得ないところに追い込まれた」というのが本当のところじゃないでしょうか。TV業界に限らず普通の会社でもありそうな話です。

いずれにせよ、両者が別々に結論を出したとしても、もう続けられないという点では一致していたんでしょう。ただ両方とも「悪いのは相手」と主張している。ま、これもよくある話ですね。

この話をいつまで続けるんだ、という気もしますが… ゴシップはこの辺でおしまいにしたいと思います。ただ、モリアーティのキャリアを奪ったこの事件を彼自身がどうとらえているのかが知りたい。そのヒントがネットにあるThe Has Been でした。本当に彼の作品かどうかはっきりしないんですが、考えさせられるところ、たくさんありました。また今度の記事にて。

*1:のちに「この言葉でキャストの感情を害したのは申し訳ない」としている

*2:撮影現場に時間通り来るかどうかわからなかった、というクルーの話を読んだことがあります。これが本当だったら迷惑きわまりない。予定が押せばどれほどの不都合と余計な費用が発生するか…